係船設備−運用


●アンカーについて


 使用する機会の多いダンフォース型のアンカーは、正しい物を選び、使用すること。シャンクとブレードの角度がとにかく肝心で、30〜35度。これに注意しないとアンカーの効果が得られず、ただの重りになってしまう。
アンカーは、大小2本以上持つこと。それもできれば2種類(砂泥用、岩底用)のアンカーを持ちたい。クルージングでの使用や、凪の日の短い時間のアンカーリング(昼食時など)でうまく使い分け、さらに海底の底質の違いによる使い分けができるのがベストだ。アンカーをひとつ多く積んでおけば、なんらかの理由でひとつを失っても、安心して航海が続けられる。


●チエーンについて


アンカーには必ずチェーンをつけること。小さなアンカーでも長めのチェーンをつけることで、思ったよりアンカーが効くケースが多い。引き上げる時がやや面倒ではあるが、安全を第一に優先したい。
 錨索が全部チェーンの場合、それを切断することができる道具を搭載しておくこと。アンカーが万一海底の障害物に引っかかり、抜錨ができなくなった時、それを切断する道具がなければ、すべてのチェーンを海底に捨てなければならない。さらにそうなった場合には、仮にスペアーのアンカーを用意していても、なんらかのロープを持っていなければそのアンカーを打つことはできない。ウインドラス用のチェーンなどは価格も高く、オーダーしてから納品までにも時間がかかる。御注意を。


●アンカーシステムについて


 アンカーシステムを船に積んだ時、まず最初にすることは、必ずどこかにロープエンドを縛りつけることだ。これを怠っていると、いざアンカーを投入し、ロープを伸ばしていった時、アンカーシステムと“サヨナラ”してしまうことも考えられる。
 ロープシンブルとシャックルはサイズの合ったものを使用し、スムーズに動くようにしておくこと。この動きが悪いと、ロープがスリ切れてしまうことがある。
 アンカー・シャックル・チエーン・ロープが確実に接続されていることを、必ず確認してからアンカーを投入すること。一カ所でも接続されていなければ、アンカーは“サヨナラ”だ。何年も船に乗っている方は、自分ではやらないまでも、このような場面を目撃しているはずだ。



●シーアンカーについて


 シーアンカーは大変便利品。できれば用意しておこう。アンカーの届かない深い所で船を停めることができる(ただし潮に流されるが)。引き上げるのも考えるよりずっと簡単で、使った人はほとんどがそのように感じるはずだ。


●アンカーリングについて


アンカーリングにあたっては、海図をよく見て、砂泥の底質を選び、アンカーを入れること。岩底はトラブルを起こしやすい。以前海底が一枚岩で、アンカーが掛からないことがあった。
 ディプスファインダー (測深器、魚探など)で深さを調べてから、アンカーを入れること。水深が適当でないと、アンカーロープが足りなくなることもある。
 風向及び潮の流れを考えてアンカーを入れること。風向が変わったり、潮の流れが変わった時、他の船や浅瀬、岩などに当たらないように注意する。


●ロ一プについて


 アンカーロープには、テトロン、ナイロン、ビニロンなど、水に沈むロープを使うこと。水に浮くロープでは、アンカーを持ち上げてしまったり、海面に浮いていることで他船の航行の妨げにもなる。
 タグロープ(曳航索)は持っていた方が良い。なければ助けてもらえないこともある。安全第一を考え、そうした設備もきちんと整えておくこと。
 タグロープには曳いているロープの状態がよく見え、スクリューにも巻きにくいので、できれば浮くロープが望ましい。


レポート/SElJl
イラスト/Y0SHIO




CATALOG VOL.1

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